コラム

no.044
読書の秋 ~偉大なリーダーが読書を薦める理由~

2017年9月27日 | 取締役 菅桂次郎

ここ最近、すっかり秋っぽくなり過ごしやすくなってきた。蝉の声が鈴虫の声へと移り変わるこの時期は、春と並んで好きな季節である。

そんな秋を感じはじめた先日、ある企業の常務取締役と対談する機会を得、管理職層、所謂リーダー人材の育成の話題で盛り上がった。

特に、人間性や感性を磨くことの重要性については共感する点が多く、文学やアートに触れることの大切さ、中でも「読書からの学び」について、その意義を見直す機会となった。

様々なリーダーや経営者にとって、本から得る学びは想像以上に大きいようだ。たしかに、古今東西、成功者と言われる人や偉大なリーダーの多くが、読書の重要性を説く。

私自身も、学生の頃より社会人になってから、新人の頃より課長職になってから、課長職の頃より今の方が、圧倒的に読書に費やす時間は増えている。まだまだ「偉大さ」は微塵も醸し出せていないのが難点だが・・・。

昔から「読書の秋」という言葉があるが、秋を感じはじめたこの季節に、読書について考えてみることにしよう。

まず、読書の効用という面で考えてみると、“新たな”知識の獲得が一番に挙げられるのではないだろうか。人類史上最も偉大な発見とされる「文字」と「活版印刷技術」により、人から人、過去から未来へと情報は場所と時間を越えて伝播していくようになった。

一方で、伝播する情報の内容そのものについてはどうだろうか。敢えて“新たな”と強調してみたが、確かに科学が進歩し、これまで謎とされてきた様々なことが解明され、人類にとっての新たな知恵として蓄積されてきている面もあるが、私にとっては、読書から得られる最も大きな学びは、「人間とは」という感性である。

そしてこれは、私にとっての“新たな”学びである反面、数千年前の人間が感じていたことと大差のない、ある種、人類にとっては“昔からある”ものであるとも言える。要は、「人間の本質的なもの」ということだ。

我々を取り巻く環境は激変し、あたかも人類も変化しているような錯覚に囚われがちだが、実は人間の内面である「こころ」や「きもち」の領域については、何も変わっていないとも言えるのではないだろうか。

今後、労働集約的な仕事はロボットに、知識集約的な仕事はAIに移り変わっていく中、仕事における人間の価値が問われている。

だからこそ、いま、このタイミングにおいて「人間とは何か」という根源的な問いを自問する行為は、すべてのビジネスパーソンにとって重要なことなのだと私は考えており、その思考行為を支援する一つが読書だと思う。

良質な読書とは、自分自身のこころに目を向ける内省の一環であり、他者に依存することなく自分が自分らしく生きていくための糧となる最も効果的かつコスパの高い育成方法なのだと思うのだ。

読書の秋。この言葉は、韓愈(かんゆ)という中国・唐中期の文学者・思想家が残した詩の中の『灯火親しむべし』という言葉に由来しているらしい。秋になると涼しさが気持ちよく感じられ、灯りのなじむようになるという意味で、現代風の解釈としては、快適で夜が長くなるので読書には最適な季節ということだ。

学ぶには最適なこの季節。
皆様の組織の社員の方々に、人事から「本」をプレゼントしてみてはいかがだろうか。